起きて君が居る。


「アレン!」


任務から帰ってきたばかりのアレンを大声で呼べば、アレンはその声に気づいて嬉しそうにふり返り私の姿を確認してにっこりと微笑んだ。


!」

「お帰りアレン!」
「ただいま!」


走ってアレンに抱きつくとアレンも抱き返してくれて。
出迎えていたコムイさんとリーバー班長、リナリーの苦笑が視界に入る。

バカップルってことは十分わかってるもん…。でもでも!!やっぱりアレンに逢えて嬉しいんだもん!!


「はいはい。君たちの仲が良いのは十分わかったから。」


これ以上は見てられないという風にコムイさんが言う。(十分が強調されていたように聴こえたのは気のせいじゃないはずだ。)
その隣でリナリーたちも頷いている。
私とアレンは顔を見合わせて笑うと名残惜しそうに身体を離して、代わりに手を繋いた。


「アレンくんの任務はもう当分ないからゆっくりして良いよ」
「本当ですかっ!?」


良い知らせを聴いてアレンより先に私の口が開く。
コムイさんがそれを見てまた苦笑して、「そういう事だから」と言いながら自分の部屋の方へと帰って行った。リーバー班長たちもそれに続いて部屋へ向かう。リナリーなんかは「よかったね。」と言葉を残していった。



「…部屋行こっか」


ここに居てもしょうがないので、部屋に移動する。もちろん、アレンの部屋。だと思ってたんだけどな…。


「今日はの部屋に行こう?」


アレンが計算なのか上目遣いで訊いてきた。可愛いアレンの断り方を知ってるわけもなく、結局 私の部屋に行くことに。



+ + +



ガチャ、扉が開く独特の音をたてて部屋に入る。「適当に座って」と言えば、アレンは迷わずベットの上にダイブした。


「…の匂いがする」

「それ変態発言だよ」
「安心する」
「そうですか」


私の言葉を軽くスルーしてゆっくりと確認するようにアレンが呟き、近くにあった枕を抱き寄せた。
私は横目で見ながらお茶の用意をする。今日はハーブティーにしようかな。パック丁度あるし。

カチャカチャと食器が重なり合う音だけが部屋に響く。


「アレーン」


お茶の用意が出来てベッドの近くにあるテーブルまで持っていく。
アレンを呼びながらベッドに近づくと規則正しいアレンの寝息が聴こえてきた。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
フフッと笑いながらベッドの端に腰掛ける。
犯罪的に可愛いアレンの髪を梳かしながら、自分が入れたお茶を一口飲んだ。ハーブティーにして正解だったかも。
久しぶりに飲むハーブティーは思っていたよりも美味しくて。
ハーブティーに満足した後、視線を移動させてアレンを見る。


「疲れてたんだね」


寝ているアレンに小さく呟いた。人につられるってよくいうけど、なんか私も眠くなってきた。
だんだんと瞼が重くなってる気がして、もらい寝かしらなんて思いながら軽く目を擦って眠気に身を任せた。



「おやすみ、アレン」



そう言いながらアレンのおでこに軽くキスをしてそのまま、眼を閉じた。




どれくらいたったのだろう。薄く眼を開けると、目の前にアレンの顔。

は?なんでアレンが!いや、居るのは良いんだけど、なんで体勢かわってんの?

ベッドの端に寄りかかるようにしていたはずなのになぜか今はアレンに抱きしめられている。


「…ん。?」
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「んーおやすみなさい」


起こしてしまったかと内心慌てていると、アレンはのん気にまた寝付いてしまった。しかも、おやすみの後に私の唇を奪って。
1人で真っ赤になりながらアレンを見つめれば、アレンはなんか凄く幸せそうでこっちまで幸せな気分になる。

さっきの事はアレンの寝顔に免じて許してあげるか。

そう思ってクスッと笑う。また睡魔が襲ってきたことをいいことに睡魔に抵抗しようとはせず眼を閉じる。


「……」


薄くなりゆく意識の中でアレンが呟いたように思えた。




これから当分は君と一緒。
だから目覚めたらきっと1番最初に言える。


『ハロー、マイダーリン』


ハロー、マイダーリン



起きたら君が居る。そんな些細なこと。でも最大級に幸せなこと。