いやいや、いきなり そんな。ねぇ……?


「キスさせろ」
「…急にナンデスカ?」

「いいからさせろ」


皆サマ。私、今 なぜか神田に詰め寄られております。どうしてでしょうか?
私、すっごい変な汗かきまくってるんですが!ってか、“させろ”って事は私に拒否権はないんですか!


「かっ神田!いきなりどうしたのよっ?」
「別に。したくなっただけだ」


ムッとした表情で神田が呟く。

したくなったって神田さん!
そりゃココ(英国)では友人同士とか家族とかでするよ?頬にだけど!
でも貴方は私と同じ日本人でしょう?恋人でもない人とキスしちゃうわけーーーっ!


「し し したくなったって!神田はしたくなったら誰にでもキスするわけーーー!」


バタバタと暴れて神田の胸を叩くけれど、やっぱり男と女の差なのか私がいくら叩いても神田はビクともしない。チッ、イノセンス発動するか…。


「神田の馬鹿ーーー!変態!!」


神田にダメージがないのは悔しいので思いっきり叫んでみる。やられっぱなしは嫌なんです。


「へっ変態だと!」


ダメージはあったらしくギロッと睨まれて、一瞬ひるんだけれど負けじと言い返す。


「…っだって変態じゃん!!誰にでもキスするんでしょ?」
「そんなわけねぇだろ!俺がしたいのはだけだ!!」
「え?今、私だけって…言った……?」
「ちっ」


意外な言葉にきょとんとしながら神田に訊くと返事のかわりに舌打ちが返ってきたんだけど…耳まで真っ赤になりながら舌打ちされても迫力ないんですが……。
真っ赤になっている神田を見て可愛いと思いながらフフッとやわらかく笑った。

そこである事に気づく。


「(そっかそうだったんだね)」


私は背伸びしてまだ機嫌の直らない神田に触れるだけのキスをする。自分の顔が赤くなっていくのが嫌でもわかって余計に恥ずかしい。
恥ずかしさで顔を上げてないけど、神田も多分 私並みに顔が赤くなっているだろう。
下を向いたまま神田に抱きついて小さい声で囁いた。


「……私も、神田の事 好きだよ」
「…当たり前だ。」


そう言って神田は私を抱きしめ返す。
私が神田に向かって“私も”って言ったのはあれが神田の愛の告白だってわかったから


それが不器用な彼の愛情表現で
それが彼の下手な告白の仕方。


顔を上げるとこちらを見ていたらしい神田と目が合う。見つめあったあと笑顔で2人、もう1度キスをした。


告白の仕方



不器用な彼なりの、