12月24日。
クリスマス。恋人たちのウハウハな日。
それはとんでもなくプレゼント代がかかる日。


「おじゃましまーす」


私は今、アレンの部屋に来ております。クリスマスだから部屋でのんびりしようってことになったのです。


「うわー。なんかアレンの部屋に来るの久々じゃない?」
「そうだっけ?」
「そうだよー、だっていつも私の部屋だもん」


拗ねたように頬を膨らまして言うとアレンがそっかと納得したように頷いて苦笑した。
頬を膨らますのをやめて、微笑み返すと「あ!」アレンが思い出したように言う。


「そうだ!これ、プレゼント」


アレンが私に差し出したのはシンプルで真ん中にキラキラ光る宝石がついているシンプルな指輪。夢のないことをいえば宝石は本物じゃなくガラス球だろうけど。


「…………………え」


急な出来事に馬鹿な私の頭はストップした。


「何 その間。てか、その返事もどうかと思うけど」


さすがアレン。的確なツッコミを入れたな?ツッコミは私のポジションなのに…!
心の中で悔しがって、顔は驚きを。


「だって…こんなの貰えると思ってなかったし。どうせアレンの事だから変なぬいぐるみとか買ってくるのかとばっかり…」


真顔でアレンに言えば、どうせって何ですかって私の頭を小突かれた。
失礼なことを言ったのは重々承知なんだけれど…本当にこんなの貰えるとは思ってなかった。
だってだって、アレンの趣味ってなんかよくわかんないから…変なもの買ってくると。しかも全然使えないもの。それで私が苦笑しながら貰うっていうのを想像してたんだけどな。


「…手、出してください。」
「なんで?」
「指輪、はめてあげます。」


にこり、天使の微笑みで笑いかけられちゃ、NOなんて言えません。言える人が居たら見てみたい。
ちくしょー!知っててやってるのか?…確信犯だったら怖いな。

仕方なくアレンの手に自分の手をのせると、暖かな手の温度が伝わってきた。私はアレンの手の温度が好きだ。

このまま、時が止まってしまえば良いのに、
なんて柄にもなくそう思ってしまう。

そんなことを考えていると指に冷たい感触、少しすればきつくもなく緩くもない優しい束縛感。
アレンの手が私の手から離れたあとに自分の手を見ると薬指にさっきの指輪がはめられていて。指輪を見て小さく微笑んだ。


「お返しは、私。でいいかしら?」
「えぇっ!?」


反応が可愛い…冗談なのにね。


「嘘。半分、冗談」


クスクス笑ってアレンに言う。からかいすぎたのかアレンの顔は真っ赤だ。
ごめんごめん、と謝ればアレンは少し拗ねたよう赤い顔で笑った。


「でも半分本気なんですよね?」


にっこりとアレンが笑う。
…同じ笑い方なのにアレンの後ろに悪魔が見えるのは気のせいでしょうか?気のせいだといってほしい。


「指輪代、自身でいいですか?」
「〜っ!」


今度は私が赤くなる番らしい。
熱を持った頬を手で覆うとアレンが私の耳元で囁いた。


「逃がさないから」


お返しに注意。



逃がさない、その言葉にときめいて。