夜の屋上庭園。寒いときはコートにマフラーで完全防備。誰もいない時間帯のここは寮の騒音から離れて、まるで別世界だ。星を見るのにも絶好の場所だしな。
仰向けに寝転んで何も考えずに星空を見る。手を伸ばせば届きそうなほど近いこの空は、都会なんかじゃ見られない。

「こんなところで寝てるとまた体調を崩しますよ、おにーさん」

逆さまの視界に入ったのはしゃがんで俺の顔を覗くの姿。こんばんは、そう言ってきたに同じような言葉を返して体を起こす。

「なんでお前がここにいんだよ」
「哉太と同じ理由だろーね」
「もう門限過ぎってぞ。早く帰れよ」
「哉太もね」

俺もこいつも帰る気なんてさらさらないことは明らかで。ばれたらどうなっかな、そんなことを思いながらに自分の隣に来るように促した。

「錫也と月子ちゃんにばれたら怒られそう」

怖い怖い、なんて言いながらもは微笑んでいて。デジカメを持ってきていない自分を恨んだ。

「……ね、哉太」

さっきまでの笑顔を消して真面目な声で言うから、どうしたのかと少し焦る。

「体、ちゃんと大切にしなよ?」
「してるだろ」
「哉太がそう思うなら良いけど」

でもさ、その次の言葉が紡がれる前に合わさる額。俺の視界はに占拠された。

「体を大事にしてる人は昼間喧嘩して夜熱出すなんてことありえないと思うなー」

ばれていたことと近い距離にびくり後退りして距離を離そうとすれば、追いかけながら笑うにお前のほうが錫也より怖ぇよ!と心の中で叫ぶ。

「あれ、顔赤いけど熱上がった?」
「……っもしかして、確信犯か、お前!」
「さあ?」
「さあ、じゃねぇよ! つか、離れろ!」

お、お前、近すぎ!


嫌だよー、みんなを心配させた罰ってことで。
みんなってまさか錫也とあいつも!?
もちろん。あとでたーーっぷり錫也に説教されると良いよ。
マジかよ!