今日、腹を括りました。











VOICE











『放課後、裏庭で待ってます。』



こんなどこにでもありそうな手紙を入れたのは私です。


書いてる途中に友達に読まれて大笑いされた。
かなり恥ずかしかった。



「アハハハッ・・・!、本当にこんなの出しちゃうわけ?」



やっと笑う事をやめたが私の書いた手紙をつまんで言った。
こんなのとは失礼な・・・。



「出すよ。」
「・・・それはそれで面白いけどさぁ、理由がね〜。」
「煩いなっ!人それぞれじゃん!!」
「そうだけど・・・。それだけであの先輩に告白するとはねぇ」



苦笑しながらが言った。
私はつままれていた手紙を奪ってガタッと席を立つ。
そしてにっこり笑って教室を出て行った。
下駄箱まで全力疾走した。
走りは早いほう、体力にも自信がある。







下駄箱に着くと周りに誰も居ない事を確認してからそぉーっと彼のところに手紙を入れる。




彼の靴は・・・なんだかなり普通だね。革靴。




「お前、俺様の下駄箱の前で何やってるんだ?アーン?」




・・・やっばい気がする。


恐る恐る後ろを見ると・・・テニス部レギュラーご一行様でした。



「アハハハハハハ・・・」



乾いた笑い声が廊下に響いた。





笑うっきゃないのよ!!そして隙を見て逃げる!!




「じゃ!!」






バッと走りだそうとしたところ、帝王に制服の首のところを掴まれた。
効果音を言うならガシッかな。
・・・という事で私の可愛い逃亡は失敗に終わった。



「俺様の問いに答えろ」
「イヤー・・・アハハハ。貴方様のお靴を拝見しようと思いまして・・・」
「へぇー。じゃ、これはなんだ?」



そう言って跡部先輩は私の書いた可愛い可愛い(強調)手紙を目の前に出した。
先輩の顔を見ると意地悪そうな笑みが・・・



コイツ・・・わかってやってやがる!




「俺様はてっきり告白かと思ったぜ」
「・・・・・・・・」
「おおっとこの手紙を読んでやらなきゃな」
「・・・・・」
「何々・・・『放課後、裏庭で待ってます』。ほぉ・・・」
「・・・」
「残念だが俺様は忙しい。今ここで聴こうか?」




ウザイ。わかってやってるもんだから余計ウザイ。
こういう性格だって知ってたよ?知ってたさ!!
つーか、他のレギュラー助けろよ!鳳とか居んだろ?クラスメイトほっとくなんていい根性してるじゃねーか・・・



「・・・きです」
「アーン?なんて言ったんだ?」




もうこうなったら仕方ない!!女は度胸!



すぅっと大きく息を吸って言い放つ。







「跡部先輩の声だけに惚れましたっ。付き合ってください!!」





「・・・」



あれ?お答えは?
ぱっと周りを見ると皆呆然としてた。
忍足先輩が1番最初に我に返って、私に問いかけた。




「自分が好きなのって跡部の声なん?」
「はい」
「それだけ?」
「はい。顔はまぁ良いですけど、性格が最悪じゃないですか。





「・・・・・ぶっ」




周りに居たレギュラー陣が一斉に吹き出した。
そして大爆笑。



「アハッ!自分、いいキャラしとるなぁ」
「そうですか?」
「なぁなぁ!ちなみに顔は誰が良いんだよ!?」



忍足先輩に受け答えしていると向日先輩が楽しそうに訊いてきた。



どーでもいいけど、ちっちゃいな・・・





「えーと・・・顔は忍足先輩と鳳をたして2で割ったような感じが・・・「どんなんや、それ」





さすが忍足先輩。的確にツッコミを入れてきましたね。



「冗談ですよ。顔は・・・忍足先輩ですかね。眼鏡好きなので。」
「理由はもしかして眼鏡だけ!?」
「あぁはい。」



理由を訊いてきた向日先輩が私の答えを聴いて大笑いした。
忍足先輩は廊下の角にのの字を書いている。




「性格は!?」




向日先輩がチラッと忍足先輩を見て笑ったあと、また私に訊いてきた。



「性格は・・・宍戸先輩ですね」
「即答!?」




「はい。一目見たときから彼だって決めてました





「いや、それ告白だろ」




真面目に答えていると宍戸先輩が突っ込んだ。忍足先輩はまだ回復していないらしい。
向日先輩はますます笑って飛び跳ねだした。




「お前ってホントいいキャラしてんのな!!」
「そうですか?ありがとうございます。本当は宍戸さんの方が良かったんですけどね〜」

「え?お前って宍戸狙いだったのか!?」
「えぇ。だって硬派で浮気しなさそうだし、顔も声も結構いいじゃないですか」
「そ、そうなのか?」




私の突然発言を聴いた宍戸先輩が顔を赤くした。



・・・こういうところがツボなのよね。




「でも・・・」
「でも?」






「宍戸先輩には鳳っていう恋人がいるって聴いたので・・・」







「「はぁ!?」」




宍戸先輩と鳳の声が重なった。



「なんだよそれ!!」
「あれ。なんにもないんですか?」
「あるわけねーだろ!!」
「そうなんですか」




ホッと安堵の溜息をつく。
宍戸先輩は顔がまだ真っ赤だ。





「もしかしてさん、それで俺の呼び方“鳳”に変えたの?」
「うん」




だって愛しの宍戸先輩が鳳と付き合ってるのはムカついたんだもん。
はっきり言ってウザかったんだもん。





「君、本当に面白いCー!お友達になろ!!」





芥川先輩が言った。



「お友達ですか?」



首をかしげて聞き返す。



「そうお友達だCー」





「・・・はいっ!」






にっこり笑って返事を返した。
その時丁度、授業開始のチャイムが鳴ったので笑顔のまま、先輩たちに別れを告げた。








「「「「「「「(可愛い)」」」」」」」







レギュラー全員が顔を赤くしてた事は私にはわからなかった。








・・・これで一歩近づけたかな?













詰め込みすぎた。