囚われのお姫サマー
恋する乙女は悲劇のヒロイン!? −後編−
キーンコーン・・・カーンコーン・・・
はい、只今本日の授業終了のチャイムが鳴り響いております。
いいかげんこの生徒会室から出たいんですけど。
「あの、跡部せんぱ・・・」
ここから出してもらおうと跡部先輩に話しかけようと振り返る。
そこにはいつもの俺様ナルシストの跡部先輩の顔ではなく、無防備な寝顔があった。
・・・・・・跡部先輩が寝てる・・・!!
これは売れるわ!
なんて思い、写真を撮らせていただく。
思わぬところでシャッターチャンスだ。
気持ち良さそうに寝ている跡部先輩を起こさないように写真を撮り終え、この隙に・・・!と教室を抜け出した。
+ + +
サラッと心地よい風が生徒会室にふいた。
その風で跡部は眼を覚まし、体を起こす。
生徒会室の異変に気づくまでそんなに長い時間はかからなかった。
「・・・っ!?」
居なくなったを探すべく跡部は教室をとび出していった。
あの馬鹿・・・なんで勝手に居なくなりやがる!
どこだ、はどこに居るんだ!?
内心焦りながら校内を駆け回る。
この行動は跡部自身も不思議だった。
ひとりの女にこれほど不安になり探したのは初めての事だった。
生徒会室からとび出して十数分、跡部は4階から1階に下りていた。
階段を下り終え、一息つくため立ち止まる。
近くの柱に体重をかけ息を整える。
っくそ。どこ行ったんだ、アイツは!
なんでこんなに不安になるんだ、俺は・・・!
たかがひとりの女じゃねぇか・・・。
チラッと見た中庭にの姿が見えた。
一瞬だったが跡部はそれをだと確定する。
「くそっ!」
ダン、柱を殴りまた走り出す。
テニスで鍛えた足が中庭に着くのにはそう時間はかからなかった。
「あのーお姉さま方。」
「何よ!?」
の声に苛つくように2人の女子が振り返った。
「私はどうして呼ばれたのでしょうか?」
えへへと気弱そうに笑いながらが言う。
「馬鹿じゃない!?そんな事もわからないの!?」
「えぇ。わからないんですよねー」
「アンタ、ムカつくのよ。」
「跡部様に近づかないで!」
「近づくなと言われましても・・・こっちは近づいた覚えがないんですよね」
「はぁ!?あれだけ近づいといて近づいてないですって!?」
「はい・・・すいません」
「何謝ってんのよ!」
返答一つ一つが苛つくらしく、どんどん声を荒げる。
苛々度がMAXになってしまった1人の女子が手を上げに振り下ろした。
そのとき跡部はその光景を黙って見ていた。
本当はすぐにでも行ってやりたいところなのだが、周りに居る人たちがそれをさせてくれない。
「・・・チッ」
「舌打ちせんといてぇな」
「激ダサだぜ」
「皆さん、煩いんですけど」
周りに居る人たちとはテニス部レギュラーと。
実は最初からこうやって陰で見張っていたのだ。
「俺は行く。が何かされてからじゃ遅いだろうが!」
「その点は心配いりませんよ。」
「どういう事だ、日吉・・・!」
跡部が言い終わると同時にドスンと重いものが地面に落ちる音がした。
が何かされたと思った跡部はすぐに隠れていた草むらから出て行った。
それを追うようにしてたちも出る。
目の前に広がる光景に日吉と以外は黙ってしまった。
「やったのか・・・」
「凄いわね」
「あっ!やっぱり皆さん居たんですかー。」
「気配で居るのはわかってたんですけどねー」とのん気な声で笑うに日吉が小突く。
「お前な・・・」
「ごめんごめん。だって煩かったしさー。ちょっと気絶させただけだから大丈夫!」
「一般人にそんな事するな。」
「だからごめんって謝ってるじゃん」
「でもやっぱり私も良くないと思う。」
「そんな、まで!」
「・・・それより皆さん放心してるようだけど良いの?」
がレギュラーの方を指差して言う。
日吉が溜息をついて「面倒だ」と言いながら何があったのかを説明しだした。
「は一応、黒帯をもっているんです。だから俺はよりもこっちの奴らの方が心配だったんですけど・・・」
平然と説明する日吉を見ながらレギュラーはポカンと口を開けた。
跡部は含み笑っていたが・・・。
「えへ。皆さんご心配かけてスイマセンでした」
えへへーとは笑う。
につられてレギュラーも笑った。
フン。気に入ったぜ・・・
跡部だけが小さな心の異変に気づいた。
にとっては気づいて欲しくなかったんだけどね。
そんなこんなでのドッキドキ☆呼び出し事件は幕を閉じた。
今回は跡部寄りでしたー。
その所為で日吉以外目立ってません!(笑