やっぱり定番ですよねぇ。










氷帝祭で大騒ぎっ −準備編 2−










こんにちは、 です。
相も変わらず馬鹿でかい部室に居ます。



「………えっと、演劇の内容は、定番の不思議の国のアリスに決まりました。ぱちぱちー」



私の言葉と共にちらほら手を叩く音が聴こえた。



「200人も居るのでレギュラー以外は裏方に回ってもらいます。何か異論はありますか?」


「俺、裏方がいいんだけど」



軽く手を上げて言ったのは亮先輩。
…まさか!貴方がこの劇に出ないで誰が出るというんですか!?
私は信じられない!という顔をして亮先輩と向き合った。



「亮先輩っ!そんな戯言言っちゃ駄目です!亮先輩の望みならなんでも叶えてあげたいですがそれだけは駄目です!
 それに亮先輩が出なかったら、他の乙女たちが悲しみます!」



「ね?だから考え直してください!」と亮先輩に詰め寄れば、苦笑いを浮かべた亮先輩から「お、おう」と返事が返ってきた。
よかった、とにっこり笑みを浮かべて他の部員たちの方へと視線を戻す。
亮先輩以外には異論がある人が居なさそうだ。



「ではなさそうなので、配役に移りたいと思いますー」



面倒臭そうにもらった資料をめくるとアリスに必要そうな役名が並べられていた。
可笑しな事にアリスのところにはすでに名前が書かれている。
しかもご丁寧にアリスを線で消して横に主役、そしてその横にはアリスの文字の2倍はあろう大きさで跡部と書かれていた。
そういえば、資料チェックをするから貸せと俺ナル…もとい跡部先輩に言われて渡した気がする。
私は大きく溜息をついて、跡部先輩を見た。



「…あの、本当に言うの面倒なんですが」
「なんだ?」
「跡部先輩がアリスなんてどう考えてもありえませんから。ねぇ、侑士先輩?」
「んーそやなぁ。跡部はどっちかっていうとあの役なんやない…なぁ、岳人」
「俺に振るなよ!…まぁ確かにそうだと思うぜ。そう思うだろ?宍戸」
「は?俺かよ…まぁそのとおりだと思うけどよ…な、長太郎」

「俺にまで振らな「ほら、皆違うって言ってるじゃないですか」



キリがなさそうなので亮先輩で終わらせていただく事にする。
なんか遮った気がしたけど気のせいだよね!



「じゃぁ、俺様の役はなんなんだ?あーん?」
「跡部先輩の役は…やっぱり、アレしかないと思いますよ」



部員同士が顔を見合わせて、一斉に出てきた言葉。






「ハートの女王」






やっぱり皆同じ事を考えていたようです。
跡部先輩=俺様=女王の方程式が成りたちますもんね!



「ハートの女王だと…?」
「はい。皆さんそう思ってるみたいですね」
「…」



どうやら跡部先輩はハートの女王という役が嫌らしい。
ここはちゃんの腕の見せ所ですね!



「跡部先輩。本当にアリスの方がいいんですか?」
「…どういう意味だ」
「アリスは可愛らしい少女…例えばがっくん先輩みたいな人がやるべき役です。」
「俺が可愛いっていうのかよ!クソクソ!」
「がっくん、ちゃんには何か理由があるんや。だからちょっと黙っとき」
「ありがとうございます。侑士先輩。で、続きなんですが。跡部先輩はどう見ても可愛らしくはない。なので主役は却下です。」
「じゃ、なんで女王なんだよ」
「それは…跡部先輩が女王の名に相応しく美麗だからです…!!」
「……!そうか!だから俺様は女王なのか!ハーッハハ、良いキャスティングじゃねぇか」



よし、処理完了☆
高笑いを続ける跡部先輩を見つつ、隣に居るレギュラー陣に話しかける。





「跡部先輩って、かなり単純ですよね」





返事として返ってきたのは無言の苦笑だけだった。


皆気づいてるのに言おうとは思わないんだね!



















美麗と打つところで無礼と打った事は誰にもいえない。