今日は朝礼の日。んでもって私は委員会の仕事で司会を任されている。(委員会で寝てたからって押し付けられた。酷い!) ……押し付けられたからには楽しんでみよう。 良い機会だ。想いを突きつけてみようではないか! 「それでは、これで朝礼を終わりにします。何か連絡のある先生はいらっしゃいますか」 事務的にマイクに向かって言うと、幸運なことに連絡事項のある先生は居ないらしく、やっと終わったと安堵の息を吐く。 目線を上げて体育館を見渡せば教室に向かおうとする生徒たちの声で体育館は一気ににぎやかになっていた。 にぎやかな体育館でひときわ目立つ(女子が集まりに集まって黄色い声をあげている)集団を見つけ、にやりと笑う。 ターゲット発見! ふふふふふ……楽しいショーの始まりはじまり ガタッ、乱暴にマイクを奪うと耳に痛い独特の音がした。その音のせいである程度の生徒はこちらを振り向く。もちろんターゲットも。 「……3年、宍戸 亮!」 マイク越しにターゲットを呼ぶ。すると、亮は不思議そうな、複雑そうな顔をして私の方を見た。 最初は誰だ?という風にあたりを見回していたけれど、私の姿を確認した途端に頬を引きつらせ逃げようとした。 逃がすわけないじゃん! 「亮!いい加減言ってよ!私たち付き合ってんの!?」 マイクを持ちながら亮に詰め寄って行く。(有線じゃなくて良かった) 亮は真っ赤な顔して周りの奴ら(主に男子。女子は悲鳴の嵐だ)に騒ぎ立てられていた。 悪あがきでまだ逃げようとする彼の行く手を塞ぎ、顔を見つめた。 「ばっ!!お前何言ってんだよ!」 「だって亮が言ってくれないからっ!」 「マイク持って喋んなっつーの!」 「だってこうでもしないと亮が逃げそうだから!……それにこっちのほうが面白いし」 「なんか最後にボソッと言っただろ!」 「言ってないもん。……てか、マイク持ってなくてもみんな聞いてるし」 気がついてみれば、響いてるのは亮の声とマイク越しに発せられる私の声だけで。他の生徒たちは興味深々で私たちを見ている。 やっと周りの状況に気がついた亮はますます顔を赤くした。 「ほらほら、早く言っちゃいなさい」 にやにやと笑って亮を小突く。亮は俯いて黙り込んでしまった。 数秒の空白の後、決心したように亮が顔を上げる。 そして、私の耳元で囁いた。 「好きだ」 もちろん、囁かれたのは愛のコトバ ちゃんと聞かせてこのあとさんざんひやかされたのは言うまでもなく。 |