今日は彼の誕生日。


9月29日。私の彼氏、宍戸 亮の誕生日。
…ちょっと格好良く決めてみたいと思います!私、女の子らしくなんてしてられないので。


「亮!」
「…あ?どうしたんだよ、
「今日、亮の誕生日っしょ?」
「そうだっけか?」
「そうだし」


自分の誕生日を忘れている亮に本気で呆れれば、「なんだよその顔」と怒られた。
亮らしいといえば亮らしいんだけど…普通忘れなくない?


「…まあいいわ。こほん。今日誕生日の亮くんにちゃんからプレゼンツ!」
「は?」
「酷い反応ね」
「いきなり訳わかんねぇし」
「馬鹿?」
「馬鹿じゃねぇよ」
「アホ?」
「…お前、俺をおちょくってんのか?」
「うん」

「……よし、ぶん殴る」


にっこり、拳をつくっている亮に負けじと微笑み返す。
こんなことでは怯みません!…なんて。亮が本気でやるとは思ってないからこんなこと言えるんです。アイツは絶対女の子に手を出さないの知ってるから。


「やれるもんならやってみなさい!可愛い彼女を殴れるのっ?」


無駄に威張って言ってみる。


「…殴れるわけねぇだろうが、馬鹿」


一瞬言葉に詰まって呟くように言って、私の頭をこつんと小突いた。愛を感じる瞬間に自然と笑みが浮かぶ。


「で?プレゼントって?」
「あ、そうそう。プレゼンツですよ!」


鞄の中をごそごそ漁り、お目当てのものを見つけ亮に向ってニヤリと笑った。その顔を見て亮が青くなったのは気にしない方向で!


「亮!Happy Birthday!」


四角い箱を目の前に出して亮に差し出すと、不思議そうに「なんだよこれ」と訊き返された。
私の開けてみて!の言葉に恐る恐る箱を手にして、ゆっくり開けた。
失礼な!私はそんな変なもの買ってませんって!


「…これ」
「へへっ!吃驚した?」
「吃驚っつーか…」


驚いた表情のまま亮は箱の中身を見つめた。

パコ、可愛い音をたてて開いた箱の中身は1個の指輪。装飾品は一切付いていないシンプルなデザインのシルバーリング。指輪の内側には“Ryo.S”の文字が彫られている。


「カードも見てみ?」


箱とセットのカードを見るように促せば、亮が不思議そうに文字を読み上げた。


「…“Please make the eternity with me.”ってなんだ?」
「馬鹿だねー」
「うっせ!」


亮の反応にクスクス笑いながら「それはね…」小声で囁きかける。ただでさえ赤い亮の顔がさらに赤くなってまた笑ってしまった。


「…っ?」
「亮の誕生日だし、丁度良いかなーと思って、ね?」
「おま、馬鹿じゃねぇの!」
「…は?馬鹿じゃないし」
「馬鹿だぜ、は」
「…」
「こういうのは俺の、男の役目だろ!」


彼は彼なりに計画をたてていたらしく、拗ねたように「ったくよ…」とかなんとかぶつぶつ言ってる亮が可愛くて。
そんな彼が愛しくて優しく笑えば、亮も機嫌を直し私を見て照れくさそうに笑った。


「…亮、返事は?」


まだ返事を聴いていなかったと思い、問いかける。
顔が赤いままで「決まってんだろ!」と答えの代わりにキス。それを優しく受け止める。
触れるだけの軽いキスだったけれど、なんだか気恥ずかしくて2人して噴出してしまった。


そんな幸せな彼の誕生日。


永遠を紡ぐ輪



ちなみに宍戸さんはちゃんとヒロインの誕生日にこの指輪と同じ指輪を買ってプレゼントしました。
2人でちゃんとつけてます。
宍戸さんは首にかけて、ヒロインは左手に。

『氷帝三年R誕生祭』様参加作品     お題配布元『Rachael』様