目指せラヴラヴ!


ラブラブランチ大作戦



只今、お昼時。
恋人たちのハッピータイムです。


「はい、亮。あーんして?」
「…」


にっこり笑って玉子焼きを差し出したのに無言で返されました。
悲しいです。とてつもなく悲しいです。
今日の玉子焼きは上手く出来た方なのに・・・それを食べてくれないなんて・・・!



「なんで食べてくれへんねん!」
「・・・それをなんで忍足が言うんだよ」
「いや、ほらあれや、ちゃんの心の代弁?」



肩肘を突いて呆れたように言う亮と、まったく悪びれる様子のない笑顔の忍足。
そんな2人をフォークを握り締めながら見ている私。
・・・って、私が邪魔者みたいじゃない!
亮の彼女は私!・・・この座は誰にも渡さないわ・・・!



「亮」
「あ?なんだよ、



今度はから揚げをフォークにさして亮の口元にやると亮が不思議そうな顔をしてこっちを見てきたので、にっこり笑って言った。



「あーん」
「・・・」



またしても反応なし。
いい加減、早く食べて欲しいと思ってしまう。
お弁当が冷めちゃうでしょ!



「亮!なんで食べてくれないの!?」



から揚げがささったままのフォークをビシッ!と突き出して言う。
食堂の中で響いた声に、レギュラー陣以外の生徒たちが顔を上げた。
亮はいきなり大きくなった私の声に吃驚して、周りの視線に吃驚して、間抜けな顔で私を見ている。



「宍戸ー、間抜けな顔しとるで?」
「っせぇな。」
「はーい!また2人の世界をつくらなーい!・・・で、亮!答えてよ!」
「・・・んなの、恥ずかしいからに決まってんじゃねぇか」



少し頬を染め、亮はおにぎりにかぶりついた。



「恥ずかしい!?そんな理由なの!?」
「そんなって・・・十分な理由だろっ!?」
「全然 十分じゃないよ!ほら、がっくんを見てみなさい!」
「・・・岳人?」
「そう、がっくんよ!がっくん、から揚げ食べる?」
「いらねぇなら食べるぜ!」
「じゃ、あげる。はい、あーん」
「あーん」
「っ!?」



ぱくっと効果音がつきそうな勢いでがっくんが私のフォークからから揚げを食べた。
もぐもぐ、可愛らしい笑顔で食べる姿には癒される。
亮がなんか反応してたけど気にしなーい。



がっくんは本当に良い子ですね。
「あーん」ってやったら「あーん」って返してくれましたよ。



「ほら、がっくんはやってくれたじゃない!」
「・・・岳人だからだろ」
「むー。それじゃ、忍足!」
「俺かいな。・・・まあ、ええけど」
「は!?おい・・・!」
「忍足、何が食べたい?」
「そやなー・・・玉子焼きがええな」



忍足のリクエストどおり、玉子焼きをフォークにさして決まり文句。



「はい、あーん」
「あーん」



あら。忍足にもがっくんと違う可愛さがある事を今発見。
ところで、隣の亮が不機嫌な顔をしてるのは気のせいですか。そうですか。



「ん・・・なかなか上手いやん」
「でしょ!?今日はちょっと自信作なのさ!」



丁度言い終わったところでチャイムが鳴った。
周りの生徒たちはほとんどもう居なくて、居るのは付き合ってくれたレギュラー陣ぐらい。
まだ食べ終わってなかった私は5限をサボるのを覚悟して「先行っててー」と皆に言う。
皆は口々に「ゆっくり食べろよー」とか「授業サボるんじゃねぇぞ」とか言って食堂を出てった。
そんな声にいちいち答えてたら、食べ始めるのが遅くなってレギュラー陣はもう食堂に居なかった。



「いっただきまーす」



まったく手をつけていないお弁当の中から、自信作の玉子焼きをフォークにさして、口に運ぶ。
口に入る5秒前。腕が引っ張られて、口は空振り。
引っ張られたほうを見るとそこには真っ赤な顔をした亮が居て、その口には私のフォーク。



「・・・亮?」
「ったく、あんな事、気軽にするんじゃねぇよ」
「なんでさ」
「なんでって・・・俺が嫌なんだよ。がその・・・他の奴と、間接キ、キスするが!」



口をへの字に曲げて、真っ赤な顔して亮が言った。
その顔にどうしても顔が緩んでしまう。



「・・・なんだよ」
「いやー・・・可愛いなーとね」
「かわっ!?」
「可愛いよ、亮は。さて、亮、あーん」



残り1個となったから揚げを差し出す。
ムスッとした顔でそっぽを向いてた亮がこっちを向いた。



「・・・あーん」



ぱく。
食べました、最後のから揚げ。
え?もちろん、私が。



「・・・おい、。これはなんかの悪ふざけか?」
「だって、お腹すいたんだもん!亮がいけないんだよ!?」



フォークを加えたまま亮を見ると、溜息をつかれた。





一先ず、ラブラブ作戦大成功!・・・ですかね?