震える肩を優しく抱きとめたい
20.流涙
エレベーターから急いでの部屋に向かう。
きっと、アイツは泣いているはずなんだ。
は優しいから、の部屋に来ると罪悪感で潰れてしまう。
急いで扉を開けると、しん、とした部屋の中に微かな泣き声が聴こえてきた。
その泣き声をたどりながらの居る部屋を探す。
小さな声だったからわかんなかったけど、どうやら近くの部屋・・・の部屋に居るみたいだ。
「・・・?」
真っ暗の空間に呼びかける。
少し気配が動いた気がした。
「」
「・・・、っ」
泣き声交じりで俺の名前を呼ぶと、汚れる事も構わず服で顔を拭いた。
こうやっていつも、周りの人間に心配をかけまいと我慢する。
そんなの姿を見ていると、俺まで胸が苦しくなって泣きそうになる。
泣くなよ。俺の知らないところでなんか。
しゃがみこんでと同じ高さの目線にして、を見た。
拭いても拭いても、止まらないのか何度も顔を拭くを抱きしめる。
「、俺、見てないから、泣いて良いよ」
背中を撫でながら優しく囁く。
「・・・ねぇ。私があの、時一緒に居、ればは落ちずにすんだのかな?」
「それはの所為じゃない。」
「でも・・・っ、私が、一緒に居ればは・・・っ!」
の顔がある方の肩に湿りを感じた。
そしてその湿りは最初は暖かくそして、冷えていく。
「は、あんな事になら、なかったのに・・・!私が、私が・・・っ」
皺になるほど俺のシャツを掴んで、苦しそうに叫んだ。
そんなを見ていられなくての肩に自分の顔を埋めて、強く力を入れる。
もそれに答えるように力を込めた。
「の所為じゃないんだ・・・」
泣き声が響く部屋の中、俺はぽつりと呟いた。
に言い聞かせるように、自分に言い聞かせるように。
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君の所為じゃない、これだけは言える。