まさか沈黙がこんなにも長く感じるとは思わなかった。 時が止まってしまったような、そんな感覚。 息が詰まりそうになっているのはきっと泣いているから。そうだと思いたい。 岳人の方も見れず、私は俯いて地面に生えている雑草を見つめた。 言わなきゃ良かったと後悔してます、だいぶ前から。 「俺、は」 岳人らしくない、しん とした声。 こんなときにもあぁ格好いい声だな、なんて思ってしまう私に失笑した。 でも笑いを顔に出したら岳人は怒ると思うから心の中だけにする。 「正直、に付きまとわれんのが嫌だった」 「お前、無駄にテンション高いし」と続ける岳人。 酷いなとは思うけど私自身もそう感じるし、何も言わない事にした。 お菓子作って、殺そうとしたな。毒殺じゃなくて食べさせすぎで。 私の返事を待っていたのか、岳人は1拍2拍黙ってから口を開く。 「でも今はそんなに嫌じゃねぇ…と思う」 思わず顔を上げた。 下を見ている岳人の耳は林檎みたいに赤い。 これは、思い上がって良いのですか……駄目? 「最初は嫌だったけど、そのうち、お前が居ないと落ち着かなくなってきて」 目尻に溜まった涙がポロリと頬に伝わった。 笑えばいいのか泣けばいいのかわからない、不思議な気持ち。 「今は、近くにが居ないと、なんかやだ」 だんだんと小さくなっていく岳人の言葉。 「…だから、好きとか嫌いとかで言うと」 この言葉に続くのは、晴れか雨か 答えは1秒後。 「……好き、なんだと思う…多分」 それは本当に小さな声で。 聴き取れた事は奇跡に近いような気がする。 真っ赤な顔で愛の告白。それだけで愛しさゲージは急上昇。 可愛いよ、可憐過ぎるよこの子! 多分とかヒロイン並みに可愛いところとかはこの際気にしない事にする。 私の本能が刺激されたのか、知らないうちに岳人の事を抱きしめていた。 変態っぽいけど、嬉しさのあまりって事でひとつ。 「可愛いんだよ、コノヤロー!うわーん!」 「いたっ!いてぇよ!締めんな、ぐは…!」 ごき、とかいう音が聴こえたので、さすがにやばいと思って体を離す。 「ごめん」と一言謝ると、げほげほ言いながら岳人は別に平気と手を振る。 そんな仕草でも私に向けられたものだから、凄く嬉しくて 「岳人!」 もう一度抱きしめようとしたら、思いっきり拒否された。 「それにしても、凄い顔だな 」 いきなり苦笑で持ち出された話題に、一瞬意味がわからなくて、間を置いてから顔を手で覆った。 泣きっぱなしの私の顔はそれはそれは酷い事になっているはず。 「煩い!見るな、チビ!」 「ちっ、チビだと?」 「私より小さいじゃんか!」 「がでかいだけだろ!巨人!」 「巨人?この小人!」 ぐーと睨み合って数秒、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑いが零れた。 「好きだよ、岳人!」 大空に向って叫んだ言葉は絶対貴方に届くよ。 なぜかって?だって隣に居る貴方が証明してくれてるからね。 握り返された手はきっとずっと離さない My prince! 私の王子様! I swear that I love you through life! 私は貴方を一生愛すると誓うわ! It was destiny that I meet you! (だって)貴方と出逢うのは運命だったんだから! 今回の教訓 追い続ければきっと、なんだって叶うよ! 10.執念でGET沈黙、のち 晴れ とぎどき超快晴! Back Top あとがき |