この行事はきっと今回でおしまい。
13.テスト結果
風が頬をかすめていった。
ここはどこだっけ・・・?
手が暖かい・・・。何かに包まれている・・・
瞼をだんだんと開けていくと、教団の医務室の天井と白髪が見えた。
「・・・ア、レンくん?」
小さく呟くとアレンくんはパッと振り返った。
アレンくんは瞳にうっすらと涙を浮かべて捨てられた子犬のように私のほうへと歩いてくる。
「っ!・・・っごめ、ごめんなさい!」
「どうして謝るの?」
「それは・・・!」
「アレンくんはなんにも悪くないのに?」
「僕が悪かったんです!」
「アレンくんは悪くない。あれは私の我侭。」
ゆっくり起き上がって微笑む。
アレンくんは子どものように泣き出した。
私はアレンくんを自分のほうに寄せて優しく抱きしめる。
「ごめんね。自分勝手で・・・」
「が、死んじゃったかと、思っ、た」
「ごめんね。悲しませて・・・」
優しく優しく壊れないように頭をなでる。
どこかで聴いた唄を少し口ずさむ。
よくわからないけど、唄は人を落ち着かせる効果があるって言ってたような・・・
少し時間が経つと胸元から規則正しい寝息が聴こえてきた。
泣きつかれて眠っちゃうなんて・・・、まだ子どもだね。
アレンくんが眠ってしまった事を確認してフッと笑い、自分が寝ていたベッドにアレンくんを寝かせる。
「コムイさん。居るんでしょう?」
私がそう言うと苦笑してコムイさんが物陰から出てきた。
「いつからわかったんだい?」
「最初から」
「まったくくんには敵わないな」と言いながらコムイさんはいつものようにコーヒーを一口飲んだ。
にっこり笑っていると、コムイさんは急に真面目な顔つきになった。
「聴いていいかい?」
「どうぞ」
「アレンくん、どうだった?」
「良い子ですよ。何事にも真っ直ぐで・・・。
戦闘力に問題は残りますが、それはまぁ、成長しますね。
なんだか、ヘブちゃんがアレンくんの事を“時の破壊者”って言ったのがわかった気がします。」
一気に言うとコムイさんはボードに何か書き込んでいた。
「結果は?」と訊かれたのでにっこり笑って言う。
「文句なしの、合格ですね。
あ、でも、アレンくんには弱点があるのでそれを補強しないと・・・。きっと、神田との任務で少しは強くなるでしょう」
「そうだね。」
「コムイさん・・・私からも1ついいですか?」
「身体の事かい?・・・もうあの試験はやめたほうが良いだろうね」
「そうですよね・・・」
「ま、その事は後々考えていこう?きっともう神田くんが耐えられないから」
「そうですね」
私とコムイさんは2人でクスッと笑った。
一先ず、アレンくん。テスト合格おめでとう・・・!
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アレンと仲直り?