君には心配させてばっかりだね
14.心配してくれてありがとう
「神田」
コムイさんが出て行った事を確認して言う。
すると扉の陰に隠れていた神田がむっつりと不機嫌そうな顔で出てきた。
そんな神田の顔を見てクスッと笑う。
私が笑った事でますます神田の顔が不機嫌になった。
「・・・モヤシは結局、どうだったんだ?」
「モヤシじゃなくてアレンくんね。合格よ。」
「けっ」
「でも、まだ弱い。もしかしたら、神田との任務のとき迷惑かけちゃうかもね」
「あいつが居るだけで迷惑だ」
「そんな事 言わないの!」
「それでお前は・・・?」
「は?私?私は合格も何もないよ」
きょとんとした顔で返すと神田の顔に青筋が見えた。
神田が苛立ちを抑えるように低い声で言う。
「身体の事だよ・・・!」
「あぁ!」と胸の前で手をポンと叩いて微笑んだ。
私が微笑んだ事に照れたのか、それとも自分が言った言葉に照れたのかわからなかったけど、神田の顔が真っ赤になっていた。
神田もアレンくんみたいに素直に『心配した』って言ってくれればいいのに。
でも神田だから無理か。
そんな事を考えながらクスッと笑う。
「大丈夫!」
もうやっちゃ駄目だとは言われたけど・・・。
元気なところをアピールするように明るく言った。
少し声が大きくなってしまったのかアレンくんが「ん・・・」と声を漏らしたので口をパッと覆った。
アレンくんは寝返りをうつだけで起きた気配がないようでホッとする。
せっかく眠ったのに起こしたら可哀相だもんね。
・・・なんか、子どもを見守る親視点になってきてるのは気のせい!?
神田といい、アレンくんといい、皆 子ども過ぎなんだよ!!
と、自分の中での議論を無理矢理 終わらせる。
神田の近くに寄ってアレンくんを起こさないように囁く。
「だって神田が守ってくれるんでしょ?」
自信満々に笑うと神田は不敵に笑い返した。
「さぁな」
「何それ。」
「次第って事だ」
「・・・フフッ」
「何が可笑しい」
「いや、神田って変わんないなーと思って」
「あ?」
「だって同じ様な台詞、私が試験したときも言ってたよ」
そう、あの時も言ってた。
あの頃は私もまだまだ現役で・・・って今でも現役か。
今よりもっと長い時間 戦えた頃。
神田が入団してきて、そのときすでに恒例化してた試験を神田にやったときの事。
懐かしいな・・・。
過去を振り返りながら窓から入ってくるそよ風の心地よさにそっと眼を細めた。
← →
神田との絡みは何故か甘系になってしまう・・・。
次回は回想編。神田との出逢い。