神田との出逢い。
15.少し前の話
「なんで俺がこんな事しなくちゃいけない!」
廊下に新しく入ってきたと思われる団員の声が響いた。
新しく入った団員はどうやら男の子のようだ。
声が低い。
きっと、テストの事で怒っているんだろうな。
そんな事を考えながらコムイさんが今回のテストの内容を説明し終わるのをソファに座って待っていた。
隣にはラビが居て、一緒にお菓子を食べている。
ときどきこっちを見てはにこっと犯罪並みのスマイルなので凄く癒される。
・・・悪いところを言えば、心臓がもたなそうな事。
ラビの髪って綺麗だよな〜・・・
ラビの眼から視線を外して髪を眺める。
「くーん!」
コムイさんに呼ばれ、ラビにバイバイと早口で言ってからコムイさんが居る方へと急いだ。
「くん、この子が新しく入った新人くん。」
コーヒーを持っていない手で指差す。
指の先の方へに視線を移すとそこには綺麗な男の子が居た。
男の子っていっても、きっと私より年上。
だって雰囲気がそんな感じ。というか、少し偉そう。
じぃっと男の子を見つめているとその男の子に睨まれた。
う・・と眼に涙が浮かぶのを堪えながら負けじと睨み返す。
私、この子嫌いだ。
でも、自己紹介しなきゃ・・・。
ちらっとコムイさんを見るとにっこりと微笑まれた。
早くしろって事だ。
コムイさんに勝てるとは思わなかったのではぁと溜息をついて手を差し出しながら言う。
「・・・・です。」
「神田だ」
会話終了。
やりにくい。
「イノセンスは準備できていますか?」
「あぁ。」
「それでは、いきます」
「ふん」
神田さん・・・別に神田でいっか。呼ぶ事なんかないだろうし。
神田がイノセンスを手に持っている事を確認して、私も鈴音を発動させる。
いつもと同じ様に周りに薄いフィルターがかかった。
かかった途端、神田がイノセンスである刀を強く握った。
その反射神経の良さに自然と口が緩む。
「格好良い刀ですね。名前はなんて言うんですか?」
「・・・関係ない」
「別にいいじゃないですか」
「ふん。俺に勝てたら教えてやるよ」
「わかりました。めんどいので本気でいきます」
フッと笑うと神田が驚いたような顔をしてた。
風華を発動させて風を操る。
私も実は戦いって好きじゃない。面倒だし。
それに何が嫌って誰かが傷つく事。
偽善って言われるかもしれないけど、傷つけるのは嫌。
だから、無理言って対アクマ武器を2つに分けてもらった。
保護と攻撃。
この両方は出来るようで出来ない。
出来るようになるために私は修行を積み重ねた。
苦しい日々だったな・・・と今でも失笑する。
話を戻して、神田との対決。
神田のやつは刀だから私の風は避けれない。
でもすばらしい身体能力でぎりぎりだけどなんとかかわしていた。
この身体能力は凄い。でも・・・!
「甘いよ。神田くん」
一気に神田に詰め寄る。
神田が驚いて息をのんだ瞬間に首に風華を突き出して耳元で囁いた。
「私の勝ちだね」
自信満々に笑うと神田がチッと小さく舌打ちしたのが聴こえた。
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神田との出逢い編。
実は最初、お互い良い印象を持ってませんでした(笑