カナシイ記憶。










18.涙、流れるほど










空は真っ暗で星が輝いていた。
アレンくんの過去を照らすように。



「・・・くん、大丈夫かい?」



優しくコムイさんが言う。
言葉が出ない、その代わり涙が流れた。



どうして、アレンくんはあんなに笑って今を暮らしているんだろう。

どうやったら、あれほど強くなれるんだろう。



悲しい、哀しい、カナシイ




私には到底想像できないような悲しい過去。
拭っても拭っても溢れる涙を隠そうと俯いた。
ポンと何かが頭にのった。

暖かい・・・。

リーバー班長の手だった。
私を安心させるように2、3回頭を撫でてる。
眼を閉じると布が顔にあたった。
ゆっくり眼を開けて見ると、ティムキャンピーがハンカチを持って私の目の前に居た。
「ありがとう」と言ってティムからハンカチを受け取る。
次に差し出されたのは、ホットココア。
どうやら、コムイさんが作ってくれたらしい。
甘い香りに誘われてコムイさんの手からココアを受け取り、少し口に入れた。



「落ち着いたかい?」
「大丈夫か?」



コムイさんとリーバー班長の声がぴったり重なって自然と笑みが零れた。
2人は顔を見合わせて私が笑ったのを見ると照れくさそうに笑った。




「・・・ありがとうございます」


「気にするな。」
くんに泣かれたって事がばれると怒り出す人たちが居るからね」



3人で笑う。
知らないうちに涙が頬を伝った。



悲しくない、でも涙が出る。







「ごめ、んなさい・・・。」




「いいよ、泣いても」
「無理すんなよ、



それから私は声を押し殺して泣いた。
声を出したら、全てをぶちまけてしまいそうで怖かった。

体中の水分が出てるんじゃないかと思うくらい涙が流れる。





だってコムイさんたちがあまりにも優しいから。

アレンくんも神田もコムイさんもリーバー班長もティムも、
皆優しすぎるから・・・。

溢れた涙が止まらないの

あと少ししか、ない
少ししかないから覚悟はできてる。

けど・・・

ここに居たい、と思ってしまうの。

皆、優しいから
私の居場所はあるって思い込んでしまう。

いけない事なのに

使えない私は居ても
意味がないのに

あともう少しで
私の生きている意味を
なくしてしまうから。



「・・っ」



ときどき漏れる泣き声。

周りには優しく見守ってくれる人たちが居る。







ここに居たいと思ってしまうのは私が愚かだからですか・・・?







空が明るくなるまで部屋に泣き声が響いた。



















  



大きく前進、かな?

この話には秘密が2つあるんです、実は。
そんな大層なものじゃないですけど・・・。
1つは17話にも関係してます。一覧で見るとわかりやすいかも。(笑
もう1つは・・・探してみてください。