なんで居んだよーーーーっ!!
20.嫌いな理由
「ぎゃーーー!!近づくなーーーーっ!!」
撥春と紫呉が家に着くと中では凄まじいバトルが繰り広げられていた。
「「・・・」」
無言の2人。
そら何も喋れないでしょうよ!
だって、と紅葉が庭でバトってんだもん!
はテレビ投げようとしてるしね!って、おいっ!!
テレビ壊れちゃうから!てか、紅葉死んじゃうからっ!
「なんというか・・・」
「戦場だね・・・」
「ーっ」
「近寄んなっつってんだろー!!」
「っおい!お前、さすがに紅葉死ぬぞっ!?」
「やめなよ!さん!」
「や や やめてください!さん!」
本気でテレビを投げようとしているを夾、由希、透が必死に止めている。
「・・・紅葉止めたら、いいんじゃないの?」
「「早く言えっ!!」」
撥春がポツリと呟くと夾と由希が一緒に反応した。
もちろんその後2人して睨み合ってたけどね。
さずが、猫と鼠!
その後なんとかして紅葉を止めるともテレビを置いて大人しくなった。
皆、息切れ状態です。しかも、眼が死んでます。特に透が。
「・・・はぁはぁ。俺、こいつが居るのに安心できねぇよ!2階行くぜ!」
「ちょ、さん!?」
由希の呼びかけにも応じず、は2階に上がっていった。
「・・・僕、嫌われる事したのかな」
「さぁ?」
「が甘いもの好きだから、色々あげただけなんだけど・・・」
しゅんと落ち込む紅葉を撥春が撫でる。
「それが原因なんじゃねぇのか?」と夾が隣で呟いた。
+ + +
「くん、ちょっといいかい?」
「ん?どうぞ、紫呉さん」
ノックと一緒に紫呉の声が扉の外から聴こえてきたので、は自然に「どうぞ」と言って扉を開けた。
扉が開き、紫呉を中に入れてベッドに座る。
すると、隣に紫呉も座った。
「くんは、彼が嫌いなのかい?」
「・・・別に、嫌いではないよ」
「じゃ、どうして?」
優しく問いかける紫呉はにっこりと微笑んでいた。
は少し黙り込んでから俯いて言う。
「・・・似てるから」
「誰に?」
「自分に。」
「どこが似ていると思うんだい?」
「・・・甘いものが好きなとこ、可愛いものが好きなとこ。それから・・・」
紫呉はの返答に内心驚きながら、ゆっくりとの答えを待った。
「それから・・・無鉄砲なとこ、直進すぎること」
「それは、たくさん共通点があるね」
「それが嫌なんだ」
ポツリと消えるような声で呟く。
「俺を見てるみたいで嫌なんだ・・・」
泣きそうな声のの頭に紫呉は手をのせて撫でた。
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は実は自分嫌い!?
20話突破☆