アナタたちの前だけは弱いに戻らせて・・・
05.少女
目の前にある白い部屋。
消毒液の匂い。
ベッドに横たわる姿は綺麗だと思った。
「・・・久しぶり。っても、1週間しか経ってないけどね」
微笑んで横たわる少女に話しかける。
少女・・・は1ヶ月近くここに居るせいか肌が白かった。
健康的な白さではなく、病弱的な白さ。
真っ白な手を自分の手で包み込む。
「あいつ等はまだ変化がないよ・・・。幼稚すぎて笑っちゃうくらい。
それと、まだ犯人が掴めないんだ。こんな事した理由も・・・。情けないなぁ、ホントに」
まだワカラナイ。
わかる日がいつか来るのだろうか・・・?
私はそのためにあそこに居るのに。
握る力を強めて失笑に似た笑いを浮かべた。
「ねぇ、・・・」
貴女を呼ぶたび寂しさを覚えたのはいつからだろう
「目ぇ覚まして・・・?」
涙が頬を伝った。
自然とあふれ出す涙は止まる事を知らないようだ。
「・・・っふ。」
眼を閉じて涙を拭い視界が滲む中、窓の外を見る。
外は私が来たときよりも少し暗くなっていた。
もう行かなくてはいけない。
「・・・、もう帰るね。アイツの所にも行かなくちゃ行けないし。それに先生の所にも行かなきゃいけないから」
最後にもう一度だけの手を強く握る。
そのとき、が悲しく微笑んだ気がした。
を安心させるようににっこりと笑って席を立つ。
そして、真っ白な扉を開け外に出た。
早く、早く目を覚まして。
寂しくて寂しくてたまらないの・・・
もアイツも居ないあの部屋がとてつもなく怖い
・・・いや、アイツはもうそろそろ帰ってくるな。
またややこしくなりそうだ。
楽しくもなりそうだけど。
苦笑して違う病室へと向かった。
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この少女はいつ眼を覚ますのか。