なんで、居る?
12.復学
教室に入って数分が経つと先生がいつものように入ってきた。
号令がかかり、HRが始まる。
「えー・・・、今日は皆に嬉しいお知らせだ。」
嬉しいお知らせと聴いてクラスメイトの眼がキラキラと輝いた。
早く早く!という雰囲気を醸し出している。
先生ははぁと溜息をつきたそうな顔をして「入ってきなさい」と扉のほうに向かって言った。
こんな時期に転入生だろうか?
あまり興味がない私は窓の外をボーっと見ていた。
入ってきた生徒が自己紹介を始めるまでは・・・。
「お久しぶりです。」
驚いて顔をバッと上げると無表情で立っている少女が居た。
その少女は私と瓜二つで違うところといえば声の低さだけ。
私と眼が合うと少女は少しだけ微笑んだ。
本当に少しだったので私以外に気づいた人は居ないだろう。
まさか、なんで・・・?
「1ヶ月、休学していた です。」
周りの空気が変わった。
緊張感のある独特な空気。
何故そこにあの子が居る?なんで帰ってきた?
そんな声が他の囁き声から混ざって聴こえてくる。
私はまだ呆然と目の前に現れた“ ”を見つめていた。
「先生、さんの席がありません」
ガタッと誰かが立ち上がって先生に言った。
声のした方を見てみると1人の女子生徒が私の後ろにあるはずの“”の席を指していた。
2週間ほど前には確かにあった“”の机。
最初のうちは嫌がらせのつもりか菊の花が花瓶に入って置いてあった。
1週間ほど経って“”が来なくなったと思い込んだ生徒たちは菊の花を置くのをやめた。
その後だ、机がなくなったのは。
チラッと“”の机があったはずの場所を見て、また前に視線を戻す。
先生は何か考え込むと、溜息をついた。
「・・・私、職員室に机の在庫がないか訊いてきます。」
ざわつく教室に私よりも少し低い“”の声が響いた。
「でも、私1人では迷ってしまいそうなので・・・くんを借りてもいいでしょうか?」
まっすぐと先生を見つめる“”。
その視線は有無を言わせない。
「あぁ」と先生は呟いてこっちを見る。
「!来い!」
「・・・はい」
立ち上がって少し早足で黒板の前に向かった。
その間、教室は不思議なほど静かだった。
先生と“”の前に立つ。
「早く行ってきなさい」
厄介事が増えた、という口調。
私はムッとした顔をつくり、“”は無表情だった。
そして私たちは静まり返る教室の扉を開けて教室の外に出る。
「ったく何なんだよ、嫌な感じだぜ」
ムスッとした顔で私の格好をしたが呟いた。
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が帰還。