あぁ、憂鬱だ。
15.飲物
部活に行きたくない、と毎日思う。
でも、今日はいつもより行きたくない。
・・・これから毎日なんだろうな。
はぁ、と溜息をつきながら洗濯物を干す。
最後の一枚を干し終えて軽くなった籠を持って部室に向かった。
そろそろ休憩時間。
ドリンクとタオルを持っていかなくては。
嫌々ながらも冷やしてあったドリンクを籠に入れてコートに運んだ。
私がコートに立つと部員たちがざわめく。
「ー!」
にこやかにがこっちめがけて走ってきた。
「俺、のど渇いちった!ドリンク早く!」
「はいはい」
苦笑しながらにドリンクを渡す。
他の部員たちは寄ってこようともしない。
まぁ、そのほうが良いんだけどね。
リョーマもまだ気がついてないみたいだし。
私が居るときはもう誰も取りに来ないだろうと思い、クルリと向きを変える。
急ぐように少し早足で歩き出すともついてきた。
「ねぇ、僕にもドリンク頂戴」
3メートルほど歩くと後ろから声がかかる。
「・・・自分で取れば?」
「君は仮にもマネでしょ?」
好きでやってるわけじゃないの意味を込めて不二をきつい眼で見る。
そんな私を見て「まぁいいや。自分で取るよ」と口元を歪めた。
・・・かけるつもりか。
しかたない、今日はかかってやるか。
ドリンクが眼に入らないように眼をつぶる。
直後冷たいものが頭から伝わった。
「あ、ごめん。手が滑った」
それで謝っているつもりなのかと訊きたくなるようような声。
わざとなのはわかってる。
ここで何を言っても無駄な事。
でも、幼稚な彼らに笑みが零れそうになる。
私は何も言わず部室の方へと歩いた。
後ろからは私を馬鹿にする笑い声、1年生の不思議そうなざわめきが響く。
これでいいんだ。
「ほら、これで頭拭け!」
「ありがと」
が差し出したタオルを素直に受け取って頭を拭く。
「・・・ジャージでよかった」
「そうだなー。制服だったらクリーニング代高いもんな!」
「うん。」
「・・・なんで避けなかったんだよ、なら避けられただろ?」
「あぁすれば、1年が私に近づく事ないでしょ」
部室の席に座りながら言った。
が寂しそうに笑う。
「お前ってそういう奴だよな」
その言葉に私も寂しそうに笑った。
「さて、乾。出てきなよ」
ガチャ・・・と部室の扉が開く。
「いつからわかった?」
「さっき」
「そうか・・・」
「それで?」
「越前が部活が終わったら待っていてほしいそうだ」
「そう・・・」
いい機会なのかもしれない。
これ以上私に関るなって言える。
なんて考えながら眼を細めた。
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不二様の攻撃。