可笑しいだろ。









16.人数










空が大分暗くなった頃、部員がちらほらと帰りだしていた。
もちろん、私はまだ仕事が残っているので帰るつもりはない。

水道の脇でレギュラーがどこか寄ろうというのを聴きながら、隣に居るに話しかける。



「ねぇ、。」
「どした?」
「どこまで話すことが出来ると思う?」

「・・・それは乾が話してくれるだろ」
「そっか」



「大丈夫だって!」



ふとの方を見るとにっこり微笑んでいた。
何が大丈夫なのかはわからないがホッと安心できた。









。皆出て行ったぞ」
「わかった」
「りょーかい!」



そう言って乾の後に続き、部室に入ると人数が可笑しい事に気が付く。

今日約束していたのは私たちを入れて4人だけだったはずだ。
なのに、今ここには6人の人が居る。

の方をチラッと見るとわからなそうに首を振ったので、睨むような眼で乾を見た。



「どういう事、乾」



「すまない、どうしても帰らないというものでね」
「1人はわかった。もう1人はここに居るべき奴じゃないだろう?」



「てか、お前誰?」



増えた2人というのは、手塚と忍足。

手塚は乾の説明で理解できたとしても、なんで忍足が居るんだ。
忍足は氷帝のはずだろ?





「・・・誰ってそれはないんとちゃう?まぁええわ。俺、忍足 侑士ゆーねん」





気楽に笑いながら忍足がに言った。
場違いなこいつの態度はリョーマを余計不機嫌にさせている。



「でなんで居るんだ?忍足」
「あぁ、そうやった。親父がな、病院に来てほしい言うとってな俺が伝言役やねん」

「・・・先生が・・・?わかった。明日の朝行く。そう先生に伝えて」
「了解。」



話は終わったはずなのに忍足は椅子から腰を上げようとしない。






「・・・もう用は済んだんじゃないのか?」
「済んだんは済んだんやけど、なんや、ちゃんの事が気になってしもうて・・・」



「どういう意味だ?」



まっすぐ忍足の方を向いて言った。
さっきまでの態度が嘘だったかのように、忍足の眼が真剣になり私を射抜く。



私はこの瞳を知っている。
意志の強さが瞳から伝わってくる。怖い、と思うほどの強さ。

ここに居る奴らが持っている瞳の強さだった。
逃げられないと思ってしまう。



誰も話さず静まり返った部屋に忍足の低い声が響いた。







「なんで、ちゃんはあんな扱いうけとるんや?」







忍足の疑問は、リョーマの疑問と全く一緒のものだった。


















  



忍足登場。手塚も何故か居ます。