どうするの?
17.如何
「なんで、ちゃんはあんな扱いうけてるんや?」
その場の時が一瞬止まった。
手塚部長と乾先輩は気まずそうに俯いていて、は悲しそうに微笑む。
数秒経ってハッとしたように俺は言った。
「そうだよ!俺、なんにも聴いてないんだけどっ!訊きたい事が色々ある・・!」
は無表情のまま、周りを見回して溜息をつく。
「・・・訊いてどうするの?」
「え?」
「訊いてリョーマはどうするつもり?」
「それは・・・」
突然の問いに俺は言葉を詰まらせた。
知りたい。なぜこんな事になっているのか。
でも、俺は訊いてどうしたいんだろう。
たちを助けたい。
助けたいとは思うけれど、俺にそれが出来るのだろうか?
「・・・まぁいいけど。」
無表情のまま、は俺から眼を離す。
そのとき、見捨てられた気がして泣きたくなった。
「忍足は?」
「俺?俺はそやな・・・、出来るだけ自分らが持ってきたい方向にいけるように協力するで?」
「そう。」
忍足っていう人は迷わず答え、とはこの答えに納得しているようだった。
差を見せつけられた気がして、俺は俯く。
「ー。そろそろ校門閉まるぜ?」
「・・・今何時?」
「7時ちょっと過ぎ」
「帰らないと先生がくるか・・・」
「どうすんだよー」
「・・・連れてくか」
「が良いなら良いけど」
「別に。・・・乾、場所を変えたいんだがいいか?」
「あぁ。俺はいい。」
「他の奴らは?」
訊くまでもなくそこに居た人たちは頷いた。
頷いたのを確認すると、は部室の扉を開いて「行くぞ」と言い歩き始める。
どこに行くんだろうと思いながらも俺たちは無言でとの後に続いた。
+ + +
連れてこられたのは馬鹿でかいマンション。
外から見ても高級さがにじみ出ている。
「ここは・・・?」
部長が不意に呟いた。
「あぁ、俺たちの家」
さらりとが言う。
そして、厳重なオートロックを解除して普通に入っていった。
俺みたいな庶民には程遠い世界だと思った。
早く入ってという眼で2人が俺たちを見てきたので言われるがまま中に入る。
中は期待を裏切らない豪華さだった。
エレベーターに乗り込み、最上階を目指す。
最上階には部屋が2つしかなくて、ひとつの部屋の鍵をが開けた。
「・・・こっちの部屋なのか?」
「こっちの方がいいだろ」
そんな意味深の会話が2人の間でされてるのを横目で見ながら部屋に入った。
「適当に座って」とが俺たちをリビングに案内して言う。
そわそわと俺は近くにあったソファに身体を預けた。
この部屋は広くて綺麗だけど、生活感がない。
まるで、誰かの帰りを待っているように。
「乾。これまであった事をと一緒に話してくれない?」
そう一言残してはキッチンへと消えていった。
「んー。あぁ言われちゃったけど、どうしよっか乾ー」
「そうだな・・・まずは事の起こりを話すか」
「だな!それは乾、説明よろしく!俺が話すといらんとこまで話しそうだからさー」
「あぁ」
会話を一通り終えると乾先輩は眼鏡を上げノートを出して、俺たちを見る。
はその隣で乾先輩のノートを見ようとしていた。
乾先輩に阻止されてたけど。
「が周りに敵視されるようになったのは、1ヶ月前からだ」
ノートを読み上げるように乾先輩は言う。
右隣で座っていた手塚部長が僅かに表情を硬くした。
← →
さて、この部屋は誰の部屋でしょう。