鋭い奴は嫌いだ。










19.関り − 01










部屋が静まり返った。
私たちに注がれている視線は戸惑いと疑問。
なぜこの状況で笑っていられるのか、だ。



答えは、私たちだから。



それしか言いようがない。






「・・・もう遅い。帰ろう」



乾が鞄にノートを入れながら言うと、意識を取り戻したかのように他の3人が動き出した。
帰りの用意を数分で済ませ玄関へと向かう。
が廊下の電気をつけるために先頭、その次に手塚、リョーマ、乾、忍足、私の順に部屋を出て行く。

私が部屋の扉を閉めようと後ろを向いたときに耳元で囁かれた。





「今度はちゃんと全部教えてな・・・?」





独特の低い声とイントネーションに背筋が凍った。



忍足は気がついている。
私たちが張った予防線に。



「なんの、事だ・・・?」



振り返って忍足を見つめ、震える声を抑えながら言った。



「ま、良いけどな。今度ゆっくり話そうなー、ちゃん」



そう言いながら、不敵に笑って忍足は乾の後に続いて玄関の扉を通っていった。
バタンと音を立てて閉まる扉。部屋にはまた静寂が訪れた。



私がどんな顔をしていたのかはわからない。

忍足は笑っていた、けど怖いと思った。



どうして関ってくるのだろう・・・。



私はその場に崩れながら考える。
けど、その答えは私の中になくてどうしてなのか疑問が残った。




関らないで、
ココロが痛いと言ってしまうから、
    アナタ自身も傷ついてしまうから・・・―――――




水が一筋、頬を伝った。


















  



どうして関るの?その答えは1つ。