只今、保健室。さっき逢ったプリンスと対面中です。





02.とりあえずお友達になろうじゃないの







先ほど、運命の出逢いをしてしまった私、氷帝学園 3年の 。他の女子よりほんのちょっと大きい普通の女子中学生。
プリンスと出逢った途端、意識を失ってしまいました。






そんな事があって in 保健室。
なぜか、なぜか!プリンスが私の横でうつ伏せになってスヤスヤ可愛らしい寝息と寝顔で寝ていらっしゃいます。
気分は私が狼でプリンスが子羊って感じですが、どうなんでしょうか、これは!

てか、プリンスってジロみたいな人だったんだ。


「ん…。バンジー、さい…こう…」


いきなりの寝言に驚いてベッドから落ちそうになった。


え…、何この子!可愛すぎる!


なんの夢を見てるかはわからないけど、幼い子のように眠っているプリンスを起こしたくはない…。
だからといって、私がここから動けないのはつらいしなー…。動いて寝顔を観察したいんだ!
どうしようか…


考えても考えてもいい考えは浮かんでこない。
しかも考えているうちに春の陽気に誘われ眠くなってきた。
くしゅん、小さく聴こえたくしゃみに寒いのかと自分が着ていたブレザーをかける。
幸運な事に、私のブレザーの方が大きくて寒くはなさそうだ。
プリンスの顔を見て顔に笑みを浮かべてから、眠気に耐えられなくなってベッドにもぐって静かに瞼を閉じた。

プリンスも眠っているし、少しぐらい寝ても平気だよね…。
あ、そうだ。起きたらお友達になってもらおっと。

眠りへと誘われる中、そんな事を思った。






キーンコーン カーンコーン ……


チャイムの音で急激に現実に引き戻される。
重い瞼を渋々開けると、保健室の白い天井が見えた。


「大丈夫か?」


声が聴こえた方を見ると、心配そうな顔で私を見ているプリンスの姿。
寝ぼけていた頭がだんだんはっきりしてきて今の状況を把握。

プリンスが近くに居る事に驚いて(さっきも居たけどさ!)何度も首を勢いよく縦に振った。
「ならよかったぜ」とプリンスが笑う。


「これ、かけてくれてありがとな」


いつの間にかベッドの上に移動していたブレザーを指差して言ったので、こっちも冷静を装って返事を返す。



「そ、そそそそんな!普通にょ事をしたままでですっ!」



…無理でした。どもりすぎましたよ!しかも噛んだ!


「敬語はいいって。俺たち、タメだろ?それに同じクラスだよな?」
「は…うん。」
「俺、向日 岳人。よろしくな!」
「あ、 。よろしく、ね」


自己紹介のあと、プリンスはニカッと惚れ惚れするような顔で笑って、私は引きつった顔で笑った。これが精一杯だったんだよ!


「向日くん…」
「岳人でいいって!」
「じゃあ、がががっ岳人…」


名前呼び成功!早くない?運命だから?やっぱり?


「どした?」



「あのね…………結婚してくださいっ!!



「……は?」


口から出た言葉に自分でも驚いた。
言った本人が驚いたんだから、岳人はその100倍くらい驚いただろう。
それにしてもまさか“お友達になってください”が“結婚してください”になるとは思わなかったよ。どうやったら間違えるんだ自分。
はっ、もしや願望が出たのか。


「間違い!今の間違いだから!忘れて!忘れろ!友達になろうって言いたかったの!」


慌てて言い直すと岳人が笑い出して、私は恥ずかしさで顔を赤くした。
そんなに笑わなくてもいいじゃないか!



「つか、そんな事言わなくたって俺たちダチじゃん!」



この言葉はすっごくえぇそれは凄く嬉しかったけど、そのあとについてきた「お前、面白すぎ…っ!」って言うのは気に食わない。
確かにちょっとは面白かったかもしれないけどさ、そこまで言う必要はないと思うんだ!



そのあと、先生が帰ってくるまで岳人は笑って腹筋が痛いとか言ってました。

…微妙だけど友達にはなれたみたいです。



今回の教訓
運命の人の前でいきなり話そうとすると、プロポーズしてしまうので注意が必要です。








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今回の暴走度は低め?