どうしたらそこまで鈍感になれるんだっ!





03.このニブちんが!







「がーくーとっ!」
「おう、どうした、?」
「岳人に愛の言葉を伝えに参りました!」
「うわ…きもっ」
「酷っ!本気なのに!」


どうやら私の好きになったプリンスはとんでもなく鈍いらしい。
てか、私、恋愛対象に見られてない?毎日、こうやって告白してるのに!


ちゃんもよぉやるなぁ」
「お褒めに預かり光栄でっす」


おっしーが呆れ顔で言ってきたのでにっこり笑って返してやる。
それでもおっしーは隙を見せず冷静に「褒めてないんやけど」って返してきました。
めっちゃ悔しい!関西人だからって!


ー」


声をかけられ振り向けば、が手を振ってこっちに歩いてきた。
振り替えしながらがここに到着するまで待つ。面倒なので歩きたくない。


、またやってたの?」
「あったりまえ!毎日欠かさずやる事で効果があるのよ!」
「そう…懲りないね、アンタも」


おっしーと同じように呆れ顔で私を見ると、ハッと何かを思いついたような顔をしてからにやりと笑った。
私は恐れを感じて少し後ずさりする。


「あのねー、。買出しに行ってほしいの!」
「は?」
「でも、1人だと大変だから…そうだ!向日くん、一緒に行ってあげてくれない?」
「なんで俺が!」
…ナイス!」
「当然。で、向日くん。行って、くれるでしょ?」
「…ハイ。」


なんか、の後ろに黒いものを感じましたが、怖いのでスルーでお願いしたい!
のおかげで岳人と出掛ける事ができそうです!
よっしゃーー!運命の女神は私に優しいようだ。
このチャンスを使ってアピールするぞ!そして告るぞ!





+ + +





「はぁ。なんで俺が」
「いいじゃん!たまにはさ!」


岳人と私は素早く買い物を済ませ、スーパーの袋片手に学校に向っている。
袋の所為で手をつなげないのが凄く悔しい。


「…ねぇ、岳人。好きな人、居る?」


からかい半分に訊いてみると、岳人の頬が急激な速さで赤くなっていった。

…可愛すぎますよ、少年!


「い、居るわけねぇだろ!おおお前こそ居んのかよ?」
「私?居るよ」
「うっわ。マジで?」
「何よ、そのうっわ、って!」
「いやなんか意外だったから」


ときどき思うんだけど、岳人って失礼な子だよね!
乙女に好きな人が居て何が悪いんだ!


「私だって好きな人くらい居ます!」


拗ねた感じを出しながらふいと顔を逸らす。
岳人は面白そうに笑って跳ねながら、「ごめんごめん」と謝った。
謝ってるように聴こえないんですが!


「なぁ!お前の好きな人って誰?」
「…近くに居る人」
「近くに…?誰だ?…っ!わかった、侑士だろ!」
「そうそう、あの伊達眼鏡…って違うから!テニス部で髪の赤い人だがら!」
「テニス部…?」



…………げ。言ってしまった。さすがの岳人もわかる、よね?


「そっか!菊丸か!…丸井も居るな。…ん?でもあいつらってあんま近くないし…」


なんなんですか。この子。馬鹿ですか?
ここまで行って気づかないって事は私はアウトオブ眼中って事ですか?望み薄ですか!
普通気づくだろ!てか、気づけ!



「「「このぉニブちんがぁああ!」」」



さすがにいらっときて腹から叫ぶと周りからの声と重なった。
周りからって?不思議に思い、周りを見回すととおっしーの姿が…。

なんで居るの!


「鈍いわ、がっくん!俺はそんな子に育てた覚えはないでっ?」
「な、なんだよ!侑士!」


おっしーが岳人の肩を掴んで揺らしながら言う。その後ろでがうんうんと頷いていた。
岳人は何が起こってるのか理解できていないようで、不思議そうな顔をしておっしーを見つめている。


「あんな、ちゃんがどんだけ勇気だしたんかわかっとるん?」
「だからなんのことだよ!」
「がっくんがそこまで鈍感だったなんて…俺、悲しいわ…!」


うんたらかんたら。このあとおっしーの半泣きお説教が数分続き、結局岳人は何も理解できなかった。

…はっ!岳人との仲 全然発展してない!



今回の教訓
変化球もいいですが、ごく稀にありえないくらい鈍感な人も居るので気持ちはストレートに言いましょう。








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がっくんは少し鈍感であって欲しい。