引く事知らず。





04.押して駄目なら押して押して押しまくれ







調理実習というのは乙女の授業だと思ってます。
誰でも乙女になれる授業…素敵だよね!



ってなわけで、今日は調理実習がありました。
今、私と手に握られているのは意外にも(に言われた)手先が器用な私にラッピングされたクッキー。
もちろん、岳人のために作ったものです。この日ばかりはかったるい実習を開いてくれた先生に感謝。クッキーだなんてナイスだ先生!


「岳人っ!愛する貴方のためにクッキーといわれる乙女の秘密兵器を持ってきたわ!」


ガラッと扉を開けて言い放つと岳人に嫌な顔された。
それでも!私はめげずにずいとクッキーと岳人の目の前に差し出す。
なのに、「そんな危険そうなものいらねぇよ」と押し返されたんですが!



危険そうなものって…私をなんだと思ってるのこの子!


「貰ってよ!」
「いらねぇよ!」
「…せっかく岳人のために作ったのに!」
が勝手に作ったんだろっ?」
「美味しいのに!」
「お前が作ったものが美味しそうに聴こえるか!」


その言い方は酷いな!
私が毒薬でも作ってるような言い方じゃないか!

言葉に詰まっていると隣からが助け舟を出してくれた。後ろには黒いオーラが…、まぁ、気づかなかったフリをしよう。


「あら、のお菓子は絶品よ?お菓子屋さん開けるくらいに」
「は?ありえねぇだろ!」
「それが本当なのよね、不思議な事に」
「信じねぇぞ!」



「もういいさ!どうせ岳人は私の作ったものなんか食べれないんでしょ!」



いきなり叫んだら岳人とに驚いた顔されて、私は息切れしながらも教室を飛び出した。
後ろから私を呼ぶ声がするけど、この際聴こえないフリだ!



何さ何さ、岳人なんて、岳人なんて……
大好きだーーーっ!好きだよ、コンチクショウ!



!」


追いかけてきたらしいが私の手を掴む。私は抵抗したくても後々が怖くて下手に抵抗できない。


、大丈夫?」
「…何が?」


けろっとした顔で返すとが大きく溜息をついた。


こんな事で挫けるちゃんじゃないもんね!


、私 今からいろいろと作ってくる!」
「は?」
「1個作って駄目なら10個作れよ!」
「そんなの聴いた事ないから」
「私論だから!」
「所謂、押して駄目なら押しまくれって事ね」
「おう!」


にっこり笑うとも笑い返してくれた。癒し!
そしてそれから、先生を脅し…先生に頼んで調理室を開けてもらい、お菓子作り開始。
作る種類は1人じゃ食べきれないくらい作りましたよ。王道アップルパイに、プリン、マカロン、チョコなどなど。
何時間もかけて大量のお菓子を作っている途中、岳人とおっしーが見に来た。
おっしーが言うには私が飛び出していった事を岳人は気にしていたらしい。その話を聴いてクフフと内心ガッツポーズ。

あの岳人が心配してくれた!!乙女としてはこれ以上嬉しい事ってない!



少し経って最後のお菓子を作り終えると岳人が訊いてきた。


「…これって誰が食べるんだ?」


ポツリ呟いたはずだったのに異様にその場に響き、私ととおっしーが一斉に岳人を見る。
わからないの?3人がひとつになった瞬間だったよ。


「岳人に決まってるでしょ?さっ、岳人 いっぱい食べてね!」


にっこり笑って言うと岳人は真っ青な顔をして金魚のように口をパクパクさせた。
そんな顔したって駄目ですから!


えぇもちろん、有無を言わせずに食べさせましたとも!
食い物の恨みは凄いのよ!…ん?恨み?



ちなみに岳人はこのとき、「の作ったものをもう断らない」と心に決めたそうです。
ずいぶんと学習能力がありますコト!



今回の教訓
1回断られただけでは挫けないようにしましょう。そして押しまくってください。








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岳人が可哀想…。でも自業自得か?