昨日、学校帰りにあるものを購入。





05.お前にはこの赤い糸が見えないのか







赤い糸…それは恋人たちの運命の糸…
絶対、私と岳人の小指についていると思うのですが!


「おっしー。私、貴方にオネガイがあるんだケド…」


「…まず、つっこんでええか?」
「ナニカ?」
「なんでところどころカタコトやねん」
「…気にしたら負けデスヨ」
「…わかった。気にせん事にするわ。で、なんやオネガイって」
「あのですね、岳人を……………岳人にこれをつけてきてください」


「…今の間はなんや」


「気にしたら負けデスヨ」
「…(無視)これ…っ!」


おっしーが目を見開いて驚いた。

つか、今普通にシカトしたよね?
あらぁ、表に出やがれ、エセ眼鏡!


「あ、もちろん、つけるところはわかってますよね?」
「…あぁ」
「よろしくー」


おっしーにブツを持たせて教室から立ち去る。これで岳人がくればOKね!





+ + +





ちゃん、岳人きたで?」
「本当?エセ眼鏡!」
「酷っ!」
「ごめーん。心で思ってる事がつい口に…こほん。気にしないで!で、ちゃんとつけてきた?」
「もちろんや!ほな、端っこ返すで」
「あんがと、エセめが…おっしー!」


ルンルン気分でおっしーから端っこを貰って岳人に近づく。


「岳人っ!」
「…なんだよ」
「やっぱり私たちって運命の赤い糸で繋がってたんだね!」
「はぁ?どこにそんなもんあんだよ!」
「どこにって…見えないの?ここにあるのに」


そう言って自分の小指を岳人に見せる。
私の小指には赤色の細い毛糸が結ばれていて、もちろん岳人の小指にも結ばれている。



「なんだこれーーーーっ!」


「何って…赤い糸」


見ればわかるでしょ的な感じで言う。
あぁ、慌てる岳人も愛らしい…!


「…、目が変質者っぽい」


痛い言葉がとんできました。
負けません、ちゃんは負けませんよー!


「おい!!お前、いつこんなのつけたんだよ!」


岳人が半ば叫びながら訊いてきたので、私は首を傾げて考えた。
いつぐらいだろうな…。



「…さっき?」


「なんで疑問系なんだよ!」
「だっておっしーがつけたから」


素直に答えると、岳人は恨めしそうにおっしーの方を見た。
おっしーは「がっくん、似合ってるやん」と笑いを凄く堪えながら言う。


「ごめんなー。ちゃんに言われて断れなかったんやー」


…忍足くん。目から涙でてますヨ。そんなにあからさまに笑い堪えてますって顔しなくても。
まぁ、笑えるからいいけどね!



「ゆーうーしぃーーー!!」



岳人がおっしーに向って走り出す。というか暴れだす。
おっしーは易々とかわして「あはは、ごめんゆーてるやん」とかなんとか謝罪なのか笑ってるのかどっちなのかわからないコメントをしていた。
そのコメントに余計苛立ったようで、今度は岳人vsおっしーの格闘だ。


わぉ、本物の格闘なんて初めて見ちゃった!


ストリートファイトをしている岳人とおっしー(岳人の方が弱い)を微笑んで見守る。


「ねぇ、。あのままでいいの?」
「いいんじゃん?…面白いし」
「そうね。」
「それに危険な場所に行きたくない」
「うん、私も」


2人が戦っている間にこんな会話が私との間であった事や、クラスの皆がどっちが勝つかという賭けを始めた事、断然おっしーのほうが人気だった事は岳人(だけ)に言えない秘密だ。



今回の教訓
赤い糸はいつも目に見えないものなので、勝手に自分で作り上げましょう。







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赤い糸もにかかればギャグに…。